【第四節】迷信・俗信・占いなどを信じている人へ
6. 人相・手相などはどのように考えるべきか
人相術や手相術は今から数千年前に、古代インドに発祥したといわれています。
私たちの目に写る姿、形の特徴から過去のできごとや、将来の吉凶を判断するのが人相・手相などの観相術(かんそうじゅつ)です。
私たち人間の生命は、色心不二(しきしんふに)といって肉体と精神が一体のものですから、心に大きな悩みや心配ごとがあれば、具体的に色法(しきほう=肉体)として相にあらわれます。また内蔵などに疾患があればもちろんその特徴が出てきますし、本人の生活信条や性格なども、長い間には姿、形にあらわれてくるものです。
したがって、表面の人相や手相からその人の性格や健康状態を推測することは、それほどむずかしいことではありません。さらにそれをもとにして将来の予想もある程度できるかもしれません。
そのほかにも、過去のできごとなど、およそのことを言い当てる占い師もおりますが、だからといって将来をまちがいなく見ることができるとは限りません。
わらにもすがる気持ちで占い師に見てもらう人にとっては、過去が当たったということですっかり信じ込み、未来の予言をうのみにしてしまうのでしょうが、これは、実に浅はかなことなのです。
日蓮大聖人が、心地観経(しんちかんんぎょう)を引いて、
「過去の因を知らんと欲(ほっ)せば、其(そ)の現在の果を見よ。未来の果を知らんと欲せば、其の現在の因を見よ」(開目抄・御書571頁)
と記されているように、現在はまさしく過去の結果であり、未来は現在の果報が現われるのです。したがって自分の未来を占い師などに問い尋(たず)ねて一喜一憂するよりも、現在の自分が将来の幸福のために正しい因行を積んでいるかどうかを考えることがもっとも大切なのです。
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